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問いかけるコトバの庭=「感情と時間」の交換装置について

2022/06/15

『#尾道のおばあちゃんとわたくしホテル』には、介護施設棟とホテル棟のあいだに尾道の路地を模した回遊路があります。ここは、介護施設にいらしたおじいちゃんやおばあちゃんの散歩道です。いい香りがします。季節によって、樹木や花がかわるがわるに咲いたり、散ったり。空を見上げるベンチがあったり、雨の音をたのしむ仕掛けがあったり。そして、もうひとつ。写真※のような「問いかけるコトバ」があちこちに点在しています。たとえば。「なつかしい恋の話をしませんか?」「星になったひとのことを思い出してみませんか?」「ふるさとの話を3つ聞かせて」・・・などなど約20点。感情環境デザイナーの杉本聡恵さん、ことばの作家である村上美香さん、ゼロからグランドデザインを統括された内海慎一さんの三位一体の強力タッグで実現したものです。

さて、なんのために設置してあるでしょう?実はこれ、「感情と時間」の交換装置、なのです。たとえば、スタッフが施設にいらっしゃる利用者さんをお連れして、この散歩道を歩きます。「問いかけるコトバ」を見つけるたびに読み上げて、「〇〇さん、なつかしい恋の話きかせてーと書いてありますね。思い出すことありますか?」などと話しかけます。すると思わぬ答えが返ってきたりして。その方の人生の背景がパーっとフラッシュバックするような瞬間に出会えます。おじいちゃんやおばあちゃんの脳のなかに閉じ込めてある「記憶」に光をあてることで、固まってきた心がほどけ、「感情」に血が通います。心が動くと、不思議なぐらい身体も動くようになるのです。曇りがちな瞳もいつのまにかキラキラ。

また、スタッフにとっても、「おじいちゃんおばあちゃんたちの生きてきた背景を知ること」はとても大切なこと。好きなもの、好きじゃないもの、大切に感じているもの、などを少しずつ蓄積し、その方の暮らしの延長にある場(施設)での時間をより居心地よく、より楽しんでいただけるよう努力したいと考えているからです。

そうそう、先日は、この散歩道で、おばあちゃんが初恋の話を聞かせてくれました。内容は秘密ですw。それから、ふるさとの思い出の“奄美小唄”を歌ってくれたんです。遠い奄美諸島から、尾道のお嫁にきちゃったんですかね。どんな人生を歩んでこられたのかな。まだまだ、介護施設もホテルも開業したばかりのよちよち歩きですが、こんな瞬間のひとつひとつを愛しいと思える方に、ぜひ、泊まりに来てもらえたらと思っています。